そらいろキップ

言葉や国は関係なしに
汽車に乗り 眠り続ける少年の知らない
記憶の底の底の世界樹が

すべての、真実。







いらだち

ずうっと前から 包み込む空の下で

流れてくるのは
僕の知らない歌ばかりで

懐かしくも何ともなかった

それより
僕は

誰も彼の抱えている
痛みを知ろうとしないことに

いらだっていたんだ
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きしむ音に

枯れ葉のきしむ音に
ふりむく間もなく

降りだした雪は
図書室に隠れるようにしていた

彼と彼の家の
香り

それは
ジャスミン

降りだした雪は
連れてきてくれた

うなじにあてた鼻先の
湿り気の記憶とともに

図書室から
見える風景はかわりばえの
しない風景

残っているのは

あの時の

きしむ音だけなんだ


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はじまりの生物

浄められた夜が
ぼくらにとって あわせ鏡
それは
祝福されているようなものだから

ぼくらが造りだすことに成功した
はじまりの生物は
彼が吹いた笛と絡みあいながら
耳のなかに
囁いてくる金木犀の隠し事だった

車輪?

車輪は影でしか存在できない
影に彩られた彼の胸骨に

目眩を覚えたのが
すべてのはじまりだった

ちょっと
想像してごらん

このおなじ空間で
ぼくらと おなじ年頃の人間が

人の生き死にを手にする事を
教えられた時間

ぼくらとおなじ年頃の人間が

その時間に
憧れを抱いている事をね

狂っている?

人の生き死にを手にした時間に
それが できない人間は

狂っているんだって

ぼくらは
狂っているから

はじまりの生物を
造りだせたんだよ







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僕の役割。

空にむかって花が開くように
空にむかって雪が帰っていく夜は

帰りそこねた雪に魂が籠っているから

友達が
幾人かの彼や彼女になるから

僕の役割は

削りたての鉛筆で

輪郭をなぞる

それらは ぼやけていながら
行進していくから

いつしか

饒舌ラッパが ひきずられていく

すべてが
ひきずられて しまわないように

友達がひきずられ しまわないように
削りたての鉛筆で

輪郭をなぞる

それが 僕の役割。
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もとにもどるだけ

ほら やっぱりこうなった

はじまる前から わかっていたのにね



朝顔の菫色



アスファルトに 靴底に刻まれてる

ほんの少しの罪悪感を抱えながら

星を探りっこしても



見つかりは しないんだ



どっかが 悪い事なって



もとにもどるだけ



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やわらかい森

船は 遠ざかる

やわらかい森を小さくするかわりに

僕は 彼を裏切った
救済できなかった事を
大きくしながら
ラッパの音がたなびく
空のように 呆ける 僕の爪先に たまる唾液に
うつる 空は

蒸発していくんだ


彼の空 と 僕らを 捕まえた 太陽が まじる時に
彗星を 捕まえそこねたのが 救済できなかった

なぐさめの声は

うらみ事の 裏返し

鞄にしまいこんだ手帳に書かれた

彼の 筆跡は ソプラノのままで 僕は 知らない大人になりかけているんだ
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気づいたら雨が降ってた

気まぐれな教室で
ちかい未来に出会う人たち
見送る人たち

まばたきのぶんだけ
覚えもしないうちに

気づいたら雨が降ってた

雨が大地の思い出を
教えてくれる夜は

世界樹の枝に花が咲くから
靴ひもなおした
彼の指先

指先の 数字と絵画は
渚からやってきた 証で
螺鈿の貝殻がひび割れてるから
バツの悪そうにして
口をむすんだ
彼の唇 は もう走らない汽車の汽笛だった

僕ら
何のために 天使を連れだしてきたんだろう?

そればっかり 考えて

気づいたら雨が降ってた

あの 時と 同じ雨が僕なことを 追いかけてきたんだ
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壁画に見つめられたのは

黒猫の尻尾の弓なり
弓なりの音は
陰鬱な 靴底に染み込んだ水みたいな
バイオリン弾きが
月明かりでしか
生きられない 証拠だった

ジーンズ
膝の破れ 敗れかぶれに
古い海底の 水を 舌で救いとった

それは
壁画に見つめられたのと

おなじ 瞬間

壁画が どんなに
見つめられようとも

血は交わらない

くたばりやがれ
死にやがれ
壁画ども


俺達は碧眼 に

複製される こともないんだから
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いつもどおり だったんだ

ある日 それはいつもどおりで
学校の
校庭の
八重桜の花びらが
吹雪いて いた
いつもどおりの 昼休みだったんだ

いつもどおりの世界は

どこか
そう

この星 の 楽園を
しめすように
それは はしっこにある

いつもどおりのまま

変わっていったんだ
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つりあげた 魚

つりあげた 魚は

あらあらしくて 怖くて触れない 僕には

だから きみの出番になる
──釣り針の ひとつとれないやつばかり 釣れるなんて 不公平だ

きみは かたほほを ふくらませながら つぶやくから

僕は 炭酸をさしだすんだけど 気のぬけかけた
炭酸なんて おいしくも何ともないから

夢でも 覚めたみたいだった

その証拠に
僕は 釣り針を とってくれた きみのシャツの香りを あてられないでいる

posted by 永島大輔 19:30comments(0)trackbacks(0)pookmark