そらいろキップ
言葉や国は関係なしに
汽車に乗り 眠り続ける少年の知らない
記憶の底の底の世界樹が
すべての、真実。
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やっぱり韓国映画は凄い。
この前の『トガニ』も、びっくりな映画だったけど、昨日観た『プンサンケ』。底無し沼な大怪作だった(傑じゃなくて、怪)。 北朝鮮と南朝鮮を行き来する運び屋が、ある女性を脱北させて…からの先が、五分後に何が起きるか、まったく先が読めない。『ちょっと!アンタ、何よ、この展開!!』な観客の戸惑いに、ユン・ゲサン氏が演じる、無言の運び屋よろしく『黙って俺について来い』状態で、映画はガンガン進んで、やっと追いついた〜。と思ったら『何で、そーなるのッ!?』の先には『きゃああ〜!!これよ!これ!もっと、やってーッ!』叫びたくなるような、素晴らしい仕掛けが待っていた。 もう、目隠しでジェットコースター乗ってるみたい。 国が分断される悲劇。同じ民族、同じ人間同士が『あいつらは敵だ』と国家に騙されて、憎み合う悲劇を映画芸術が持つ毒を使って痛烈に批判。 北朝鮮と南朝鮮に別れる事になった、朝鮮戦争で復興する事ができた国に住んでると複雑な気持ちになります…。 という真面目な感想を持ちつつも、『無惨絵』みたいな映像に、後からクラクラしてきます。マッコリみたいに(笑)。 しかし、女性の裸より、男の裸の描写に、力が入ってるのは気のせいでしょうか?。 まるで、クローネンバーグ監督『イースタン・プロミス』(笑)。
学校から家へ むかう汽車の床の片隅は
木の床で 節穴から蔦が伸びていたから 橙色の夕焼けは 汽車の窓の果てに 影絵をうつしだして 問いかけるんだ 学校で 教えられている事が どのくらい この世界で実際に起きている事かって 陰謀も何もない あるのは 欲望が作りだした 妄想の世界 妄想の檻 あの首輪の主は 誰かに似ていないかね? そう これがこの世界 誰かが作りあげた 妄想の世界を 現実だと刷り込まれている そうなんだ 僕はいつまでも気づかないふりで いたけれど 汽車の床には あの少年がうずくまって 眠り続けているんだ この世界が 妄想の檻ならば 眠り続けている 記憶の底の底 妄想の檻から解き放たれた 世界樹 世界樹の帝国 それが すべての 真実
『無言歌』ワン・ビン監督。『桃さんのしあわせ』アン・ホイ監督『ブンミおじさんの森』。アピチャッポン監督。『ファウスト』ソクーロフ監督…。山形映画祭に来てくださった、監督さんの作品が映画館で日常的に上映されていると嬉しくなります。
『クレイジーホース・パリ〜夜の宝石たち〜』ワイズマン監督もそのうちのお一人です。 映画祭でお姿をみた時は、結構なお歳だったので、今おいくつなのかしら?と生まれた年を調べたら1930年生まれ!。 この映画を作られている時は80歳くらい。 80歳で創作される力も凄いですが、題材が『エロティシズム』という所がカッコいい!。 パリのクレイジホースというお店で繰り広げられる、ヌードショー。 何かヌードショーやストリップというと、ついマイナス的な見方をしてしまいますが、記録されたのは、人間が本来持っている、原始的なエロティシズムを芸術へと昇華させるために、活動している人々の姿。 お客さんも、夫婦で来てたり、デートで来てたり、みんなにこやかに記念写真撮ってるし、びっくりだよ。旦那のポケットからマッチが出てきて夫婦喧嘩とえらい違い(笑)。 一度行ってみたくなったのですが、高そうなお店なので僕の財布じゃ無理だろうな…その前にパリに行く交通費がない。 鮮やかな色彩の中に浮かびあがる人間の影絵。 鏡にうつし出された、暗闇に浮かびあがる人体の艶かしさ。人間の身体って面白いなーと思いました。 ショー使っている機材はパソコンとかあるけれど、ショー自体は人間の原始的なエロティシズムを刺激するものばかり。 何ていうんだろ、性に目覚める前の性衝動のようなもの。 『影絵の世界』と『エロティシズム』で思い出すのが、大藤信郎監督『幽霊船』。幽霊の巣窟になった船を描きながら、そこには性を刺激する映像が散りばめられている。 クレイジホースで働く人々が観たらピーン!とくると思う。 映画の中でダンサーの人々が歌うテーマ曲が素敵。サントラ欲しくなった。あるんでしょうか?。
煉瓦の煙突を見あげていたら
星の群れ 群れから くちぶえが聴こえてきたから テープレコーダーを肩にぶらさげたんだ こんどのクリスマスに閉じる ゲームセンターは 信号みたいに 電球を点滅させながら くちぶえのリズムを なぞってる テープレコーダーには 光までとれないから 僕は友達の窓に小石を投げて あいつを起こして 色鉛筆を借りてきたんだ 描くものをわすれたから あいつのシャツに くちぶえのひかりを残すつもり
つかんだ夢を夜空へ返そうとしたら
彼の左手の火傷 火傷はとうの昔に治ったけれど 彼の左手には 誰も知らない帝国の地図が残った それは いつ見たのか覚えもないけれど 涙があふれてくる 二階の裸電球に照らし出された 外套です 他に もう 何もいらないから ないんじゃないんだ 外套にくるまって おかしなくらい身体のでこぼこを 確認していたら 頬くらいに床は冷たい 彼の左手の火傷に はかない海ができていました
フォーラム山形のロビーのモニターで『トガニ』の予告を観て、口があんぐりあいてしまいました。
韓国映画は全部が全部、傑作ではないけれど、傑作が出た時の、桁外れっぷりがすごいので気になってました。 山形での公開予定を調べたら、あらら『北のカナリアたち』『ファウスト』(←また観たいのよ)『アイアンスカイ』…と重なっているではないか、見逃したら悔しいし、どうしたものか?一日中悩んでいたら、フォーラム仙台で上映してるから先に観ればいいんだ!という事に。 そんなわけで、山を越えて来ました。 ふだんの悩み事って『限られたおこづかいと時間で、いつ映画館に行くか悩む』くらいな永島家。 もう、『トガニ』に出てくる大人が酷い奴ばっかり、相手の障害や貧困につけこんで金や権力を使って、やりたい放題。これが他の映画なら、(こんなに嫌な役をやれるなんて、すげーな)などと、のどかに構えて観れるんだけど、観てるうちに、頭の血管がぶちギレそうになって、生タマゴ投げたくなるよーッ!(/--)/=○○Σ(*_*)イタッ 大人の役者もすごけりゃ、子役もすごかった。演技がリアルで観るのが辛いくらいです。 悪い奴がのさばって、正直者や社会的弱者が泣く事になる国を痛烈に批判した、この映画。公開したら観客が署名運動を始めて社会問題に発展したそうです。これ観たら怒るよね。 観るのはきつい場面もあるけど、一人でも多くの人に観てほしいです。 内容を考えるとR-18も仕方ないかという気もするけど、命がけで子供を守る大人がいる事や、国を批判する映画人や役者さんの姿を観てもらうのも、必要なんじゃないかと思うんだけどなぁ…。
『大人になると友達ができにくい』なんて言われたりしますが、僕の人生(大袈裟)をふりかえってみると、別に大人になってからだって友達はできるし、知的好奇心を刺激してくれる人に出会ったのは、大人になって、行動範囲が広がってからだった。
とはいえ、大人になってからのおつきあいは、人によっては人脈狙いや営業もあったりします。 まぁ、考えたら子供の世界にだっていろいろあるか。 『最強のふたり』は、そんな人脈狙いとか気にしないで、素のまんま接するドリスとフィリップの物語。 ドリスの天然っぷりが最高で、最初はガラの悪い兄ちゃんと見せかけておいて、ドンドンかっこよさを発揮。発揮するまでの流れや、合間に入るナンパ術の不発っぷりの見せ方がうまいんですよ〜。 何気ない指先の動きもかっこいい。 全然、立場の違う大人が出会って、自分では気づかない才能を開花させる幸せ感にあふれていて、見終わったあと、すがすがしい気持ちにさせてくれる素敵な映画です。 できれば、パトリス・ルコント監督『タンデム』と二本立てで観た〜い。 ドイツ語って、ナチスのせいで立場が狭いとは聞いてたけど、本当だったのね。フランスでは、どんなふうにドイツを見てる人がいるか、そのへんの皮肉もはいってたりします。
僕が映画にはまりだしたのは、高校生の頃で、その頃はフォーラムという映画館が山形駅から離れた所にありました。
地方では珍しく(珍しかったんだと、実感したのは東京に出てからだけど)単館系の作品も上映していて、どのくらい理解できていたのかわかりませんが、ヨーロッパの映画を観ていました。 ドンパチが少なくて、人の一生について、考えさせてくれる映画。 『キリマンジャロの雪』は、そうそう、こういう映画を観てたんだよな〜。どこか、懐かしさを感じさせてくれます。 何か、とっても、とっても、いい人映画なんですが『一体、どういう国なの?』と疑問に思わせてくれるところがいいですね。 人生から脱線した人達が出てくるけど、しっかり原因、背景を描いてる。 原因となった事に不満ばっかり言っても仕方ない。小さな力だけど、少しずつでもいいから、変えていこうとする夫婦を支えたり、反対したりする人達の姿を観ていると、演技である事を忘れてしまいます。 いい映画でした。そうそう、こういうのも観たかったんだよね。 何かしみじみ。 これから気になる映画→映画が始まるまで、フォーラム山形のロビーで、予告編が流れているモニターを観ていたら『トガニ幼き瞳の告発』(ファン・ドンヒョク監督)の予告編を観てしまいました…。たいていの映像は平気なはずなのに、これは凄かった。目が点になりました。観るのが怖い気がしないでもないけど。見逃さないようにしようと思いました。 しかし、韓国映画で凄い映画は本当、桁外れですね。
北野武監督の作家性は、都市や人物をとらえる時の無機質感、極端な描写の省略、誇張。日本で撮られたはずなのに、異界に連れ出された錯覚に陥るところにあると思う。
感情移入されるのを拒絶するような、映像の作り方。 いままでの作品にしても、どんなに悲劇的であっても、そこには『悲しい物語だから涙が出る』なんて事がない。 感情移入の拒絶。 ふと、レオス・カラックス監督を思いだした。 『映画は結局のところ作り物、それならば、作り物の可能性を追求してやろう』 『アウトレイジ ビヨンド』の極端な陰影、被写界の浅さ、深さ。 そして、ゾクッとくるような編集を観ていると、実際、何を観ているのか不安になってくる。 前より、映画の解体作業が進行しているようで楽しくなる。 北野武監督には長生きして、次々、解体された映画を撮ってほしいです。
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