そらいろキップ

言葉や国は関係なしに
汽車に乗り 眠り続ける少年の知らない
記憶の底の底の世界樹が

すべての、真実。







ふと、思い出した。丘の上。

ジョルジュ・バタイユの『聖なる神』をお気に入りのマンガをすすめるような笑顔。あるいは好きな女の子の話をするように教えてくれたのは、今となっては本人の代わりに頭の中にやってくる友達。

そういう所が好きだったよ。

世間様が喜ぶような優等生な感受性とか、そんな物はいらんわ。

丘の上の部屋は風通しがいいので飲みながら話をしているうちに大事な映画の話をしているうちに眠ってしまった気がするけど、何の映画か思い出せない。 

焼酎をほぼ原液で飲んだせいだね。


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忘れた数の月の夜 

懐かしさ。

優しい人に 出会った夜に
大切な人のことを重ねていたら
卑怯なことだと
せめられた

半分の地下の部屋は  
暖かいのに 寂しい
寂しいのは
彼が
涙を浮かべていたからです

なにも
わからなかった
涙の意味も 
言葉の意味も 
僕には

それは 
太陽がのぼる前に 
部屋の隅
電気スタンドの根元に
沈んでしまったから

やりなおせそうにない

月夜の煉瓦塀の坂道は
いままで優しかったのに
知らないふりの
冷たい背中です

いろんな事が心に
絡んでくる
不安の原因は
よく陽のあたる家から
ようやく出会えた 
大切な人と
引き離された夜に始まります

どんなに手を伸ばしても
届きそうにもない 
星の隣にあるから
どうにもならなくて
情けないままです
あんなに 
すみきっていたのに
ひどい言葉を
あびせられて
あっけなく 
世界は濁っていく 

そりゃあ
僕にも 悪い所は
あったけどさ

太陽と月をたくさん数えたら
濁りがとれる日が
くるかもしれませんよ
嘘か本当か 気休めなのか
よくわからないことを
枯葉の海で
云われてから  
数えるのが面倒になるくらい 

それだけの
太陽と月が
いれかわったよ


忘れた数の月の夜
友達の
笑顔と言葉は
5月の隠れ家で
僕に水をくれた人に
重なるものがありました

結局
僕は
卑怯者かもしれないけど
今度ばかりは
やりなおせそうな
気がしてきたよ

ずうっと 
続くものだと思っていた
世界の濁りを
とりはらってくれたのは
なにものにも
とらわれない
純度の高い
彼の
言葉です

忘れた数の月の夜
蛙が嫌いな
男の子の言葉に
僕は
助けられたよ

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つながらない糸

暑い夜は まるい模様を描きながら
背中にうきあがる 彼の汗に
いくつもの 月を宿らせていたから

声の 欠片が
それは パズルのように 
生まれゆく声と 
壊れゆく声の区別が 僕には
つかなかったから

月のいくつかを くすねて
八重桜での
待ち合わせの 合図を
考えることしか できなかった

ことしは
つながらない糸から
ずいぶんになるはずで

海の記憶をたぐいよせる
あの お香のゆくえを
探しあったときの

彼の汗の

月が 沈んでゆくよ



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むれなす声の

むれなす声が むかうのは
むれなす声の まわりの人達

このやいば
このやいばが使いたくて 
たまらない 人達が

えらびぬいた闇のなか

それは なんの意味もなさなくて

まんてんの
満天の星空のように

このやいば
このやいばが使いたくて

しかたがない人達と暮らしている

青く光るむこうがわの

悪魔は遠くの人ではなくて

すぐとなり

こどものこどもをだいているよ

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輝く隙間

見えない音楽ばかり増えてゆく
夜の空は
小さな輝く隙間が
散りばめられていて
届かない
扉ばかりで

壁画の晩餐から
何も変わらないで

月だけが
壊れ続けているような
気がしてくる

壊れ続けた
月は錆びた椅子の
たもとから

離れられないまま

裸足に
ゆっくりと 突き刺さるけれど

なんの
足跡ひとつ残らなかった








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シャツをつかむことしかできない

取り壊される事の決まっている
白い壁の部屋は

そのまま 夢のような日々で
続くことがない 寂しさとともに
続いてしまうことの怖さが

まとわりついていた

たいして飲むことの
できないお酒を飲んで
足元のおぼつかない
彼が
白い壁に描いたのは

遠くの海に見える

乗ることのできない
輝いてばかりの観覧車だった

いつになっても

空へ踏み出す 瞬間がつかめないから

異国の文字が水色で記された

彼のシャツを つかむことしかできない





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逆さまにしてくれた

ひとつきも
ふたつきも

遅れてくる季節風は
出会うのが
遅くて短い間だった

丘の家


誰かとこんなふうに話していると
ふと

あの日
ふいていた風がどんなだったか
そんな ことばかり

楽しい事のほうが多かったはずなのに
悲しい事のほうが多かったように

思えてきて 仕方がなかったけれど

遅くれてくる 季節風を

まとうようにやって来た

短い

手紙が 逆さまにしてくれた





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音と糸

ゆられ ゆられ
地の底から ふいてくる風は

金色の糸です

金色の糸は

丸い水を縛りあげる
つもりでしたが

縛りあげてみれば
金色の糸

残るのは 聴いてもらえない
音ばかり

はるか昔の
出来事の正しさばかり

方角のわからぬまま
投げる礫は

糸の持ち主の
足に絡みつく
蔦の歌声には

何の意味もなさないから

聴いてもらえない
歌ばかり

地の底から響きます
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いるとか、いないとか。

月の夜に歩く路地は
きしんと 軋むラムネ瓶の破片で

鳥籠を真似た 窓ガラスにうつる
青い影は

丘の上で離ればなれになった
あの
ただ ただまぶしい5月だった

騙すように
思いこんだのは

いるとか
いないとか どうでもよいことで

左手にできた火傷と
彼の右手にできた

痣のことばかり考えているうちに

僕は小さな
みずたまりの月を砕いてしまっていた
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うたごえ

もう聴くことができないのに

いつまでも
すみきった 水辺みたいに
のこる うた

白いガラス
破片を詰襟から
はらうときに 大切な殻を

きしむ床に 無くしてしまった

そのせいで

いつまでも 帰りかたがわからない
いつまでも 大切なあの人の顔を

おもいだせない
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