そらいろキップ
汽車に乗り 眠り続ける少年の知らない
記憶の底の底の世界樹が
すべての、真実。
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吉祥寺 森のカフェにむかう坂道が 街灯に照らされるのは この坂道を過ぎていった人達の 涙を忘れないようにするためです 水に絵を描く 少年が溶けていった 残された水底の文字の行方を 彼が知っているという確信 確信を抱いたのは 信仰を持たない僕だけど 彼がダンスを通して 神さまと出会うことが ダンスの起源とむすびついた 純粋さが 好きだったからです 祈る言葉を ひとつも知らないので 救われたくとも 救われることのない 僕には ろうそくの灯りに 照らされた 涙の匂いのする 彼の言葉は 大切な贈り物 生きていく事ができる気がした
クラブの階段をのぼりおわると 夜通し騒いだ人達の顔も名前も忘れて 煙草の匂いが染みついたシャツを 風で洗いながら 女の子みたいに伸びた あいつの髪をながめている 青い光りが白い光りになる前に 部屋に 帰る事ができるかな あいつが つぶやきながら あおぐ空にゴールドベルグ変奏曲が 響けばいいのに おなじ光景をみる事ができるのは あとどのくらいだろうか 数えながら 諦める方法ばかり考えている あの町から逃れようとして おなじ日にあけたピアスの穴 おなじ日に手に入れたブーツ 幸せだった日々が 黒い光りになっていく 青い光りが白い光りになる前に 部屋に帰る事ができるかな 汽笛が響く空の下 自転車で駆けていく上目遣いの 高校生は白い開襟シャツ 出会った頃のあいつに似ていた ぼく ぼく達にも あんなふうに 執行猶予の時があったんだよね 五月の踏切ランプに かき消されていく あいつの声に 遠くの花束が白い光りに にじんでいく 青い光りが 白い光りに包まれた あいつの部屋に 学校へむかう子供達の歌声が響く おなじ石鹸の香り 濡れた髪の あいつが真似した鼻歌を 誇りに思う
ジョルジュ・バタイユの『聖なる神』をお気に入りのマンガをすすめるような笑顔。あるいは好きな女の子の話をするように教えてくれたのは、今となっては本人の代わりに頭の中にやってくる友達。 そういう所が好きだったよ。 世間様が喜ぶような優等生な感受性とか、そんな物はいらんわ。 丘の上の部屋は風通しがいいので飲みながら話をしているうちに大事な映画の話をしているうちに眠ってしまった気がするけど、何の映画か思い出せない。 焼酎をほぼ原液で飲んだせいだね。
懐かしさ。
優しい人に 出会った夜に 大切な人のことを重ねていたら 卑怯なことだと せめられた 半分の地下の部屋は 暖かいのに 寂しい 寂しいのは 彼が 涙を浮かべていたからです なにも わからなかった 涙の意味も 言葉の意味も 僕には それは 太陽がのぼる前に 部屋の隅 電気スタンドの根元に 沈んでしまったから やりなおせそうにない 月夜の煉瓦塀の坂道は いままで優しかったのに 知らないふりの 冷たい背中です いろんな事が心に 絡んでくる 不安の原因は よく陽のあたる家から ようやく出会えた 大切な人と 引き離された夜に始まります どんなに手を伸ばしても 届きそうにもない 星の隣にあるから どうにもならなくて 情けないままです あんなに すみきっていたのに ひどい言葉を あびせられて あっけなく 世界は濁っていく そりゃあ 僕にも 悪い所は あったけどさ 太陽と月をたくさん数えたら 濁りがとれる日が くるかもしれませんよ 嘘か本当か 気休めなのか よくわからないことを 枯葉の海で 云われてから 数えるのが面倒になるくらい それだけの 太陽と月が いれかわったよ 忘れた数の月の夜 友達の 笑顔と言葉は 5月の隠れ家で 僕に水をくれた人に 重なるものがありました 結局 僕は 卑怯者かもしれないけど 今度ばかりは やりなおせそうな 気がしてきたよ ずうっと 続くものだと思っていた 世界の濁りを とりはらってくれたのは なにものにも とらわれない 純度の高い 彼の 言葉です 忘れた数の月の夜 蛙が嫌いな 男の子の言葉に 僕は 助けられたよ
暑い夜は まるい模様を描きながら
背中にうきあがる 彼の汗に いくつもの 月を宿らせていたから 声の 欠片が それは パズルのように 生まれゆく声と 壊れゆく声の区別が 僕には つかなかったから 月のいくつかを くすねて 八重桜での 待ち合わせの 合図を 考えることしか できなかった ことしは つながらない糸から ずいぶんになるはずで 海の記憶をたぐいよせる あの お香のゆくえを 探しあったときの 彼の汗の 月が 沈んでゆくよ
むれなす声が むかうのは
むれなす声の まわりの人達 このやいば このやいばが使いたくて たまらない 人達が えらびぬいた闇のなか それは なんの意味もなさなくて まんてんの 満天の星空のように このやいば このやいばが使いたくて しかたがない人達と暮らしている 青く光るむこうがわの 悪魔は遠くの人ではなくて すぐとなり こどものこどもをだいているよ
見えない音楽ばかり増えてゆく
夜の空は 小さな輝く隙間が 散りばめられていて 届かない 扉ばかりで 壁画の晩餐から 何も変わらないで 月だけが 壊れ続けているような 気がしてくる 壊れ続けた 月は錆びた椅子の たもとから 離れられないまま 裸足に ゆっくりと 突き刺さるけれど なんの 足跡ひとつ残らなかった
取り壊される事の決まっている
白い壁の部屋は そのまま 夢のような日々で 続くことがない 寂しさとともに 続いてしまうことの怖さが まとわりついていた たいして飲むことの できないお酒を飲んで 足元のおぼつかない 彼が 白い壁に描いたのは 遠くの海に見える 乗ることのできない 輝いてばかりの観覧車だった いつになっても 空へ踏み出す 瞬間がつかめないから 異国の文字が水色で記された 彼のシャツを つかむことしかできない
ひとつきも
ふたつきも 遅れてくる季節風は 出会うのが 遅くて短い間だった 丘の家 誰かとこんなふうに話していると ふと あの日 ふいていた風がどんなだったか そんな ことばかり 楽しい事のほうが多かったはずなのに 悲しい事のほうが多かったように 思えてきて 仕方がなかったけれど 遅くれてくる 季節風を まとうようにやって来た 短い 手紙が 逆さまにしてくれた
ゆられ ゆられ
地の底から ふいてくる風は 金色の糸です 金色の糸は 丸い水を縛りあげる つもりでしたが 縛りあげてみれば 金色の糸 残るのは 聴いてもらえない 音ばかり はるか昔の 出来事の正しさばかり 方角のわからぬまま 投げる礫は 糸の持ち主の 足に絡みつく 蔦の歌声には 何の意味もなさないから 聴いてもらえない 歌ばかり 地の底から響きます
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